風味官能評価法の提案
私たちはティストカードによる新しい官能評価について提案しております
製造者である私たちと愛飲者の方々との間で焼酎の品質評価に関する共通語を探し見つける為に新しい独自の評価法(官能評価)を提案しております。
焼酎の普及のためにと様々な表現であまり製品そのものの品質に関係ないところでの様々な評価が行われています。それらも一つの評価のあり方ではありますが製造者も愛飲者も双方が理解し合えるような品質の表現方法があれば、芋焼酎の品質向上に必ず役立つと確信しております。
これらの提案は完成されたものではありません。皆様のご意見を頂きながら、品質評価の在り方を探求し、確立して双方が理解し合い芋焼酎の向上に役立つような品質基準の在り方を考えてゆきたいと考えております。
是非、忌憚のないご意見をお聞かせください。 ご意見はこちらまで
芋焼酎の試飲法と評価法《ティストチェックカード》
試飲法の基本ルール
- 試飲の心得
飲むことを楽しむためのティステング(その焼酎の良いところを探すティステング)では口に含みのどを通してしっかり胃袋に収めて見なければ、本当にその酒の実力を感じることはできないと考えます。
- 風味を正しく評価するために
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割り水によって味は変わります。水はその蒸留所の仕込み水(マザーウォーター)が一番よろしいとされますが入手が困難ですので。入手しやすいミネラル水の中からなるべく中性のものを選んでください。
体調やメンタルにより左右されます。体調の良い時にティステングを試みてください。
試飲の方法
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- ・ノージング・・・・(嗅覚で)
飲む前に嗅覚で立ち昇る香りを確かめます。
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- ・ティスティング・・・(味覚で)
口に含んで、舌や口内で味(舌触り、甘み、辛味、苦味、渋み、酸味、塩味)を確かめます。
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- ・アフターテイスト・・(後味を)
飲み干した後、のど越しや鼻奥に残る香りや味を確かめます。
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- (1)常温で
温めると含まれる香気が過分に立ち昇り、冷やすと過分におさまります。試飲は常温の方がより正確さを増し判りやすいです。
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- (2)50%:50%で
アルコール度数が高すぎると微妙な味覚が困難ですので、試飲の場合はお水と半々で。(約12.5度で)
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- (3)順番に
ノージング、ティステング、アフターティストの順番で
- 試飲と手順
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- ①先ず香りを嗅ぐ
- ②口に含んで舌の上で転がすようにして風味や口当たりを聞く
- ③9割ほど吐き出す
- ④口の中に残ったわずかな量の焼酎を飲み込む
- ⑤鼻に抜ける香りやのど越しや余韻をチェックする
※別なサンプルに移る前に口の中を水ですすぎ、リフレッシュさせておきます。
- 試飲のための基準酒を決めるには
何を基準として評価をしたら良いのか判断に迷いますので、現在、販売されている芋焼酎の中で最も販売数量の多い代表的な商品を基準酒として定め、それらと比較して評価してみるのも一つの方法です。
もう一つの基準は、現在お気に入りの品種(銘柄)を基準酒にして比較してみる方法もあります。
①基準酒を決め試飲し、感覚のままにチェックホイールに記し、
②実際に試飲する焼酎をそれに比較して記録します。
ティストチェック評価
- 評価指標の扱い上の注意事項
評価指数は5段階あり、「5高い」「4やや高い」「3普通」「2やや低い」「1低い」となっております。ただし焼酎は趣向品であり、相反する感覚で好みも分かれます。項目によっては必ずしも「評価5」が優れているという訳ではございませんのでご留意ください。
精細に評価する場合は例えば3.5(普通より少し上)、2.5(普通より少し下)のような評価の仕方もあります。芋焼酎以外の酒種の場合は、「さつま芋」で記されているところを、麦焼酎又は米焼酎など主原料別に置き換えて使用してください。
ノージング
① さつま芋の香り
- 芋焼酎独自の香りが豊かである
- 評価 5
- 芋焼酎の香りは少ない
- 評価 1
相反する感覚です。人によっては好みが分かれます。
「芋らしさ」を好む人、「芋らしくない」を好む人がありす。
② 独自の香り
- 個性の香りをもっている
- 評価 5
- 個性の特長は見られない
- 評価 1
さつま芋には数百の品種があります。大きく分けて白系・赤系・黄系・紫系により独自の香りを持っています。それらを含む個性の香りはあるか。
➂ 香りの豊かさ
- 種々の香りが豊かで心地よい
- 評価 5
- 単一的である
- 評価 1
さつま芋自体から醸造により様々な香気が発生します。数々の香気がゆたかに香るかどうか。
ノージング
評価の観点と用語
加点法による観点と用語
- アロマ
- さつま芋特有の香りのこと、(米は米、麦は麦それぞれ原料由来の香りの特徴があります。)
- アロマチックな
- はっきりとしたさつま芋の品種による独自の香りのこと、
- 個性的な香り
- さつま芋の品種から造られた香りがそのまま焼酎に残るような芋焼酎に用いる。「アロキチックな」に同じ
- 香気
- 香りの種類で、快く豊かな香りのことを指す、
- 香り高い
- 風格のあるさつま芋特有の香り、「アロマ」の別な表現
- きれいな
- 異質で不快な香りがないこと。香りだけでなく味についても用いる。
- スパイシーな、
- 薬草のようなアロマとフレーヴァ、新しい樫樽を熟成に用いた時などに出る場合がある。
- 芳醇な香り
- 香りが豊かで調和のとれている様を表現する。
- 豊かな香り
- 各種様々な香りがある状態
- 華やかな香り
- 香りが高い状態
- 上品な香り
- 香りが高からず低からず洗練された香り
- さわやかな香り
- 軽い香りで心地よいかおり
- 柔らかいソフトな香り
- 刺激性の少ない香りの低い状態
- 杉用の香り
- 木樽蒸留などの杉の木の移り香がある。
- 柑橘類の香り
- 柑橘様の香り
- 蒸し芋の香り
- 蒸した芋様の香り
- 焼芋の香り
- 香ばしい焼芋様の香り
- 紅茶様の香り
- 発酵茶様の香り
- ドライフルーツ様の香り
- ドライフルーツ様の香り
- 人参様の香り
- 人参様の香り
- 小豆様の香り
- 小豆様の香り
- 花(フローラー)様の香り
- 花(フローラー)様の香り
- ハーブ様の香り
- ハーブ様の香り
- カラメル様の香り
- カラメル様の香り
減点法による指摘と用語
- 異臭
- さつま芋焼酎では好まれない不快な香りのこと
- ガソリン
- 類似の匂い、かすかに油っぽい匂い
- カラメル
- 少々焦げ臭いカラメルの香り、
- ガス臭
- 発酵時に発生した炭酸ガスの匂い、熟成が若い時に残っている。
- カビ臭
- 黒斑病や腐敗した芋に起因している。不快なにおいと味。
- アルコール臭
- ツーンと鼻を突くようなアルコール臭がある。
- 麹臭
- 麹不良臭
- アルデヒド臭
- 酸臭
- 酢酸臭
- 酪酸臭
- 硫黄臭
- 漬物臭
- 味噌臭
- 醤油臭
- もろみ臭
- 腐敗臭
- どぶ臭
- 蒸れ臭
- わら臭
- 芋不良臭
- やに臭
- ぬか臭
- 古米臭
- モミガラ臭
- 蒸米臭
- 土臭
- 泥臭
- 濾過綿臭
- 炭臭
- ゴム臭
- 樹脂臭
- ビニール臭
- 紙臭
- 薬品臭
テイスティング
④ 口当たり
- 口当たりが柔らかくさわやかである
- 評価 5
- 口当たりが刺激的である
- 評価 1
相反する感覚です。人によっては好みが分かれます。
「柔らかい口当たり」を好む人、「刺激的な口当たり」を好む人があります。
⑤ 甘味(スイート感)
- 甘味があり、味の深みを感じる
- 評価 5
- 甘味もなく深みを感じない
- 評価 1
⑥ 旨味(コク感)
- 旨味があり、風味の調和がとれている
- 評価 5
- 旨味が少なく調和もとれていない
- 評価 1
ティステング
評価の観点と用語
加点法による観点と用語
- 口当たりの良い
- 柔らかく、しなやかで良く調和のとれた
- 風味の良い、風味豊かな
- 濃厚で香辛料様の香りがあり、口中に広がるような風味溢れる状態、コク又は味の濃ゆさを表現する。
- ボディがしっかりしている。
- さつま芋感がはっきりとしている。
- きれい、すっきりしている。
- さつま芋の独自の香りが豊かで芳醇だがよく調和がとれている。
- 軽快、ライト
- アルコールの含量が低い、ボディー感に欠ける。
- 軽く柔らかい
- アルコールをあまり感じさせず、香りも高がらず、刺激の軽い
- さわりが良い、
- 口当たりがやさしい
- なめらか
- 口の中で刺激が低めでスーツと飲み干せる
- まろやか
- 甘味がありトロッとしたまろやかさがある。
- 濃醇
- 多種の香りを持ち調和がとれている
- 重厚
- 芋独特の香り味をふんだんに感じる。
- 旨味がある。
- バランスの良い香味がある
- 甘い、甘みがある。
- 甘味を感じる
- 熟成・古酒味
- 滑らかで、角がなく、かすかに熟成容器独特の香りを持つ
- 刺激の強い
- アルコール度数が高く、刺激が強い
- アルコール感が強い
- 辛口のこと、甘みが無い
- ドライ
- やや辛口、セミスィートよりも甘美の弱いときに使う
- セミドライ
- 甘口のこと
- スイート
- やや甘口
- セミスイート
- フルーティーでチャーミングな風味
- 細身の
- 洗練された香りや味の表現。香りは深く、上品で快い時
- 優雅
- 味は軽すぎず重すぎず調和のとれている状態を云う。
- エレガント
- 味、香味、風味、匂いではなく、口の中での感覚
- 香味、flavor、フルーティ
減点法による指摘と用語
- アセトン
- ハッキリとしたエステル様の芳香でエステルである酢酸エチルやマニキュア除光液の酢酸アミルを想起させるような匂い。
- 激しい
- どことなく粗野で強く、鋭い、単純、つまり十分に熟成していない
- 痩せた
- 風味があまりなく、アルコール臭が目立つ、内容の薄いものを表現するときに使う。
- くどい、重い
- 酸味、すっきりしない
- 重い
- 甘みが残る
- 粗い
- 刺激味
- 辛い
- 苦味
- 渋味
- うすい、特徴がない
- 淡泊
- 初ダレ臭
- 末ダレ臭
- コゲ臭
- アメ臭
- 生臭臭
アフターテイスト
⑦ のど越し
- 通りが良くすっきりしたのど越しである
- 評価 5
- のどにガツンとくる刺激がある
- 評価 1
相反する感覚です。人によっては好みが分かれます。
「すっきりしたのど越し」を好む人、「ガツンとくる刺激」を好む人があります。
⑧ 切れ・口残り
- 口残りが少なく切れが良い
- 評価 5
- 風味が長く口残りする
- 評価 1
相反する感覚です。人によっては好みが分かれます。
「切れが良い」を混む人、「余韻がある」を好む人があります。
⑨ 熟成味
- 熟成されたまろやかさと柔らかさがある
- 評価 5
- 粗い
- 評価 1
アフターティスト
評価の観点と用語
加点法による観点と用語
- 残留後味
- のどを越した後、のどや鼻の裏側に香りが留まっている。
- 絹様の
- しっかりしているが、口の中での感触が際立って柔らかく滑らかなのどごしの
- 終わり味、フィニッシュ
- 飲み終わったときの味、さわやかなしまりがあって充実感を伴う。蒸留の在り方による。
- しみこむような
- 鼻孔に物理的効果を及ぼすような強い香りで、明らかにアルコールと揮発性のエステル含有量が多い
- 隠れた甘みのある
- 糖以外のもとから出てくる明らかな甘み、例えばグリセリンなど
- 果実香味の豊かな(fruityな)
- 魅力的で良く熟れた良質の果物の様な味、果物の香味を多く含むみずみずしさ。
- がっしりした、丈夫な
- コクのある。しっかりした。アルコール分に富んだ焼酎に用いる。
- 辛口、ドライな
- 甘くない、残糖がない、完全発酵した。
- 感覚的な
- 濃厚で、滑らかな、風味に富んでいて、きめが細かい(のど越しが良い)
- 甘美な
- 柔らかく、甘く、濃厚で、果実香味が豊かで、熟れている、これらの酒質が良く調和している状態。
- 切れ味
- 飲み終わった瞬間の口の中でのしまりの良し悪しを表現するときに使う。
- 適度な油香
- 適度な樽香
- 適度な甕香
- 熟成香
- 古酒香
- バニラ香
減点法による指摘と用語
- 熟した
- 劣化する一歩手前の円熟しきった状態、
- 味が薄い
- 平板、なんとなく味がない、腰の抜けた、特徴のない焼酎に用いる。
- 粗い
- 氏育ちが悪く、きめが粗い(のど越しが悪い)こと<
- 粗い、きつい
- のど越しの悪い不快な味
- 粗い、ざらつく
- 舌への感触、のど越しが粗く、角のある焼酎に用いる。
- フーゼル臭
- 甕臭
- 甕臭が強すぎる
- 容器臭
- 容器臭が際立つ
- 金臭
- 金臭い
- ガス臭
- 炭酸ガスが抜けきれない
- 硫黄臭
- 硫黄臭がする。
Comprehensive evaluation
⑩ 個性(スタイリッシュ)
- はっきり他と区別できる特徴(味・香り)がある
- 評価 5
- 個性を感じない。
- 評価 1
⑪ 調和(バランス)
- 豊かな香りと味の調和がとれた芳醇な風味がある
- 評価 5
- バランスが悪い
- 評価 1
⑫ クオリティ
- 原材料の特質と純度の高い本格焼酎である
- 評価 5
- 特質も無ければ純度も悪い
- 評価 1
総合的評価
評価の観点と用語
加点法による観点と用語
- キャラクター、個性
- ハッキリと区別できる特徴
- 個性のある
- さつま芋の品種、地域、醸造法のスタイルと性格を反映していること。
- スタイリッシュ、特徴のある
- 特徴のあるハッキリした芋焼酎に用いる
- 際立った
- 目立った特徴、氏育ちの良さ
- 握力がある。グリップ
- 成分構成のがっしりとした組合わせが示す力強さ
- 生き生きした
- 通常は新鮮で若い焼酎に用いる。
- しなやかな
- 味や感覚的に、定義は難しい。秘められた活力と力強さ、それに滑らかなのど越しが組み合わさった快い特徴
- 円熟している。
- 柔らかい、熟した、引っかかる角がまるでない、熟成と年数に関係する特徴で、柔らかく滑らかな芳醇な焼酎に用いる。
- 気品のある
- 優雅で上品な
- 女性的な
- 魅力的で重たくなく激しくなく魅力のある。
- 高品質の、クオリティー、品質
- ①あいまいで一般的な言葉として用い、②最低条件を満たさねばならない、③抽象的な品質を示す形容詞低級・中級・上級・高級などを伴って品質を表すのに用いられ、色については、その美しさ精澄度、香りについてはその純粋な品種が持つ香りと調和のとれた味覚上ではすべての成分が均衡を保ち、豊かで複雑な香味が飲んだ後に長い余韻を残し、こおばしい後味を残す。
- おとなしい
- 誉め言葉ではない、穏やかで飲みやすい、特徴の少ない、だが不快なところのない焼酎に用いる。
減点法による指摘と用語
- 異質な
- 色、香り、味について用い、典型から外れたの意。
- オールド、年数を経た
- 焼酎が年数を経て芳香や味が悪くなってしまった状態をいう。
- 空洞の
- 最初と最後にフレーバァーが感じられるが、持続性のある中間のフレーヴァーがない。
劣化の状態にある。